すずらん(かなしい妖精)

すずらんの花は、
とても寒(さむ)い北の国でだけ
スズのような、
ちっちゃな白い花を
すずなりに咲かせます。
 だれを、まっているの?
 だれを、よんでいるの?
妖精たちは、ずっと、ずっと
スズがなりつづけるように
手をやすめずに花を咲かせます。
 チリン チリン チリン
 チリリン リン
 きこえているかしら?
その愛らしいスガタをふるわせ
なりひびきます。
けれど
その、だれかが、やってきたとしても
永遠(えいえん)に
だきあうことはできません。

ちいさなスズランの体(からだ)は
毒(どく)で、みたされているのです・・・
愛(いと)しい、だれかとふれあいたくて
でも、ふれあうと
そのだれかは、死んでしまう・・・
そんな悲(かな)しいスズの音(ね)で
さみしい、さみしいと
だれかを呼(よ)びつづけているのです。


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